15年のホテルキャリアを終えて

2017.04.11 22:44|Het werk/ 仕事
 先日、アムステルダムでは11年、神戸で4年、合計で15年のホテル勤務を終えました。
アムステルダムで勤務していた11年間は、フロントと料飲のオペレーション業務。子供が病気になったり、子供の行事が入ったりすれば、すんなりとシフトを変えてくれる、柔軟な職場であったし、すごく働きやすかった。でも、不規則な時間帯の勤務や、週末の勤務は外せず、子育てをしながらだと家族と時間が合いにくい。自分を試したくて、また会社のためを思って、日本語のワークショップを提案・企画し、スタッフに正しい日本語の挨拶の仕方(日本の本社で使われているような、正しいおじきや名刺交換も含めて)を教えた。この件で社内の賞ももらったことで、より自分にも自信がついた。その少し鍛えられたプレゼンテーション力、コミュニケーション力を生かせるような仕事をひそかに探していた。
しかし、11年のあいだに、結婚や出産、引っ越し、子育て…あっというまに時は流れていった。去年になって、主人の仕事にも変化があり、このままいっそう日本に家族皆で帰ろうかと思ったこともあった。でもここで帰るのはあまりにも中途半端すぎる。自分はこの11年で何をしてきたんだろう?
そう思い始めていたときに、主人のオランダでの転職が確実になり、その数日後、運がよかったのだと思う、たまたまある求人に目がとまり、これは!!まさにわたしが探していた仕事!と思うものだったので、すぐにCVとモチベーションレターを送った。翌日に返事があったときは、少しだけだけど手ごたえを感じた。そして、とんとんと話が進み、メールで「採用」の内容を受け取ったのは、面接のあった当日の午後6時。台所に立っていたけれど、あまりにびっくりして力が抜け、床に座り込んで呆然としてしまった。そこに旦那と子供たちが駆けつけてくれた。とりあえず、4人で肩を組みあって、「よかったーーー!」を連発しながら。「なにがーーー?!」という子供たちに「とにかくよかったーー!!」。
ホテルの職場で、経営陣にもオフィシャルに公表になったとき、すべての同僚に打ち明けられる開放感を覚えた。"Ik ga weg van hier!" 少しずつ伝えることにした。そしたら、その伝えた同僚と話すこと5分。伝えるだけでこんなに会話が生まれるなんて。というか、わたしはこれを何人のひとたちと交わすんだろう。
伝えなければ、というか、「伝えたい」同僚が山ほどいることに、このとき気づいたのだった。
そのとき、残りの勤務日はあと2日…、到底、全員に顔を合わせて話せるわけがない。平日はできるだけ各オフィスに顔を出そうとしたが、従業員食堂だけで十分すぎるほど、伝えたいひとに会ってしまうのだった。最後の日は、辞めると言っている自分が信じられないくらいだった。相手に驚かれ、なぜか自分まで驚いていた(笑)。本当に、わたしは辞めてしまうのか?
この日、わたしはカウンターに立っていて、そこに不定期にご利用いただいている某日系企業の日本人のお客様数名がいらした。思わずそのお客様たちに、「○○様(お客様の名前)、じつはわたくし今日でホテルでの勤務が最後でして…」と切り出した。すると驚いた表情でこうおっしゃった。
「え!…あら~、もったいない。」
長年働いていたキャリアを失うことがもったいないということか。うぬぼれれば、このホテルにとって、わたしがいなくなることが残念だ、ということなのか…。自分の中では、長年の勤務のせいで辞めることがもったいない、という感覚はまったくなかったので、正直不意をつかれた気分だった。そうか。わたしはもしかしたら、もったいないことをしたのかもしれない。いままで、たくさんのお客様に出会い、笑顔をもらい、ときには要望の多い方にも、できる限りそれに近づくように努めてきた。普通では会えないようなV‣VIPが普通にホテルを利用していることに心が躍った。レギュラーのお客様の名前と顔はできるだけ覚えるようにしていたし、どこに座って何を注文するかも把握していた。たくさんのお客様が、わたしの名前も覚えてくれ、笑顔を返してくれた。とあるお客様は、子供たちのために服を定期的に送ってくれたし、家族ぐるみでお会いしたこともあった。
接客業って、目に見えないけれど、お客様がそのホテルに来て、家に帰ってきたような、ほっとする環境を作ることが大切だと思っている。だから、極端すぎないプライベートな話もするし、サービスするときはプライドを持っておもてなしをしてきた。このホテルには、そういう同じ考えでポジティブに働いているひとが多く、どの部署もよいチームスピリッツを作っていた。自分はこのホテルが大好きだったなぁ~、そう思うと、家に帰ってきてシャワーをあびながら、涙があふれてとまらなかった。新しい仕事は挑戦で楽しみだけれど、それはつまり、いまの職場にある大切なひととの時間をもう共有しなくなることでもある、と。
いまはまだ、いろいろな気持ちが交錯しているけれど、今週から休みをもらった分、少しずつ気持ちを切り替えていこうと思う。あとは、部署内の飲み会と、マネージメントからのフェアウェル・レセプション。ここでは晴れ晴れと皆にさよならが言えますように!

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 nijntje 

Author: nijntje 
FB上では幸せいっぱいの家族やプライベートのことを書いています。
このブログでは、ちょっとした愚痴ばかり書いています。笑

生まれ住んだ神戸をはなれ、仕事のため来蘭し、かれこれ12年目。2011年夏、アムステルダムから郊外のAlmere(アルメーレ)に引越し。まもなく長女、Miretje(ミレチェ)が誕生、その2年後にSoratje(ソラチェ)も加わり、4人でにぎやかな毎日を送っている。



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